現場雑感 Q&A
通知カードに記載の住所と会社に届け出があった本人住所と違うのですが。(2016.01.21)
A.たとえば、親元より自立し一人暮らしを始めたけれど住民票を移動せずにおいたケースなどが考えられますね。この場合、番号法上の問題と会社の人事管理上の問題とがあると思います。
お問い合わせいただいた購入者の方には、以下のようなアドバイスをさせていただきました。
1.既存社員の個人番号初回取得時の住所について
既存社員の個人番号の初回取得では、通知カードと番号法上定める身分証明の書類(運転免許証・パスポート・年金手帳等)の提示があれば、これら身分証明の記載住所が通知カードと一致していなくても、他の書類(住所と居所を関連づける書類、たとえば居所における賃貸借契約書で住民票記載の住所で契約しているもの等)の提出は不要と考えます。
(根拠)
①番号法に基づく国税庁告示では、住所、居所の確認までは規定されていない
②免許証など1つで身元確認が済む書類以外で2つの提示を求める場合でも、その中の社会保険¥関係書類等はもともと、資格取得時に住所と居所の区別をしておらず、かつ、これら書類にも住所の記載はされていない。
③そもそも、通知カードは、原則、住民票の住所に書留で届き、受け取る際に自身、若しくは、家族が受領印かサインをして受け取っているので、その時点で住民票の住所における身元確認、紐付けが行われている
以上により、会社は、通知カードと提供カードの住所の記載が一致していれば、住所と居所の相違
があっても、これらを紐付ける確認書類の提出等は不要とします。
(手続)
番号法上の問題をはなれて会社の管理上としては、このようなケースの場合は、提供カードの住所の記入については、通知カードの住所と同一の記載があるものを提供してもらい、居所については通知カードには二段書きで以下のように追記ていただくことをお勧めします。
(提供カード住所欄の記入例)
(住所)住民票の住所(=通知カードと同一の住所)
(居所)実際の住所(本人が生活の本拠として利用し、会社に申請する住所)を追記
2.今後における既存社員の住所変更について
番号法上、会社の管理上、社員が引越した時などは、住民票と居所の紐づけを行うものとします。
(住民票を新住所に移している場合)
新住所の市区町村で転入手続きの一環として通知カードの住所の変更を行っているので、提供カードの再提示をして頂き、提供カードを更新します。その他の書類等の提出は一切不要です。
(住民票を新住所に移していない場合)
新住所の市区町村で転入手続きを行っていないので通知カードの住所の変更もされていません。
よって、通知カードの確認は不要となります。一方、提供カードについては、住所と居所とが紐付きになる書類のコピーを提出していただいた上で、扶養家族の住所地も同時期変更したかどうかの確認が必要となるなので、これを考慮し更新による作成し直しとなり、上記(手続) と同様の追記を行い、個人番号事務管理簿に「居所追記、通知カード等変更手続き未済」と記入することとなります。
※既存社員については、既に本人の身元確認を終えているので、再度の身元確認は不要です。
3.新入社員の住所について
番号法上、採用時に本人確認(番号確認+身元確認)が必要となりますが、通知カードを確認する際に身元確認の書類と通知カードの住所とは一致するが実際の生活の本拠となる居所が異なる場合、会社の管理上は、住民票の住所と居所の紐づけを行わなければ身元確認を行うための資料提出を行っていただく必要があると考えます。
これについて整理すると、
(1)通知カードの住所と免許証などの顔写真付証明に記載の住所が同一の場合は、提供カードに上記1の(提供カード住所欄記入例)と同様の記入をしていただくと同時に、住民票の住所と居所を紐づける賃貸借契約書等のコピーの提出を行ってもらうこととなる。
(2)通知カードの住所と免許証などの顔写真付証明に記載の住所が異なる場合は、提供カードに上記1の(提供カード記入例)と同様の記入をしていただくと同時に、改めて番号法に基づく身元確認書類の提出を求めることとなる。但し、身元確認書類として採用時に会社が提出を求める年金手帳や雇用保険被保険者証で番号法の身元確認書類は充足する。となると会社の管理上としての身元確認のために住所と居所を紐づける賃貸借契約書等のコピーの提出を行ってもらうこととなる。
以上の通り、番号法上の身元確認書類の方が形式上、取得しやすいですが、一方、会社の管理上での実質的な身元確認としては、住所と居所を紐づける賃貸者契約書等コピーの提出を行っていただくこととなります。
なお、この提出要請の根拠を就業規則の採用時の提出書類などに規定しておかれることをお勧めします。