個人番号の安全管理、保管、廃棄
- 個人番号の安全管理について
ここでは、規定の整備などのお話は省かせていただき、具体的な管理措置についてお話させていただきます。そもそも基本的考え方は、なるべく普段の業務で個人番号をもちいる作業を減らすとか、社内から社外に極力提供カードを持ち出さないことが肝要です。
また、提供カードのコンセプトの一つである「ITを使う面倒から解放される」に基づきパソコン利用についての一工夫をおすすめします。
パソコンには、各会社の給料計算や人事管理ソフトがインストールされ、これを日々の業務に利用されていると思います。これらソフトについては、そのデータ(自動的にバックアップされるデータも含む)の保管場所をしっかり確認しましょう。そして、可能なら、指紋認証が可能なUSBなどにデータを保管し、利用時にパソコンに接続し、利用の際は、ネットとの繋がりを遮断して利用するなどの方法をご検討ください。
その他、提供カードに加える実際の作業として以下の場合があり、その管理をしっかり行うことが肝要です。 - 提供カードの実際の取得手続きが終了すると、提供カードの記入については、扶養家族の増加、減少による処理が主たる作業として出てきます。そのほか、個人番号の漏洩による再提出などがまれに発生するものと思われます。
※扶養家族の増加、減少による処理は、「3.提供カードについての補足事項」の4、5を参照してください。 - 提供カードは、顧問関係のある税理士、社会保険労務士等に、利用目的に沿った行政書類作成のため、委託提出することが多々発生します。この場合には、委託提出に当たって紛失、漏洩がないよう提供カードの提出方法(例えば、内容物が見えないよう梱包し、簡易書留で郵送するなど)に留意する必要があります。
また、委託時の提出、返却に当たっては、個人番号事務管理簿にその旨を記録する必要があります。 - 個人番号の保管について
個人番号の提供カードを取得した後は、指定したファイルに綴じ込み、鍵のかかる書庫、金庫などに保管してください。
扶養控除等申告書に個人番号の記入を省略する場合でも、その保管方法には、注意を払いましょう。
また、パソコンには、できる限りデータ(自動的にバックアップされるデータも含む)を置かないようにすることが、日常業務を行う上で無用な心配を抱えないで済みます。極端な話、個人番号管理用のパソコンは、ノートパソコンごと金庫にしまい、利用時だけ金庫から出してきて使うというのもよい方法です。パソコンが低廉になった昨今では、この方法も馬鹿にできません。そして、くどいようですが、指紋認証が可能なUSBなどにデータを保管することもおすすめです。代表的行政書類の法定保管期間
年末調整関係 - 扶養控除等申告書
- 配偶者特別控除申告書
- 保険料控除申告書
- 源泉徴収簿
- 住宅借入金等特別控除申告書
7年間
廃棄起算日
1~4. 法定申告期限
5. 課税関係終了の日雇用保険関係 - 雇用保険被保険者資格取得届
- 雇用保険被保険者資格喪失届
4年間
廃棄起算日
完結の日労働者災害補償保険関係 - 療養補償給付たる療養の給付請求書
- 休業補償給付支給請求書
3年間
廃棄起算日
完結の日社会保険関係 - 被保険者標準月額算定届
- 被保険者標準月額変更届
- 被保険者賞与支払届
2年間
廃棄起算日
完結の日 - 提供カードの廃棄について
個人番号の記載がある提供カードは、各種法律に定められた行政書類の保管期間(上記2の保管期間参照)を経過した後に廃棄という処理を絶対行わなければなりません。
廃棄の方法には、個人番号の部分をマスキングし、見えなくする場合と、提供カードそのものを廃棄する場合とがあります。
マスキングを行う場合は、主に扶養家族の減少がこれに当たります(扶養家族の減少による処理は、「3.提供カードについての補足事項」の5を参照してください。)。
また、提供カードそのものを廃棄する場合には、個人番号の漏洩などによる提供カードの再提出や、従業者の退職による廃棄がこれにあたります。いずれにしろ、法定保管期間後に行うことが原則ですので、例えば、退職したからといってすぐに提供カードを廃棄するといった誤った認識を持たないようにしてください。
なお、提供カードの具体的な廃棄処理方法には、シュレッダーや重要文書溶解サービスがあります。保管責任の解除(廃棄)を明確にするには、廃棄の証拠が廃棄証明通知で残る重要文書溶解サービスの方がおすすめです。提供カードの取り扱いに絞って説明してきましたが、社会保険関係の各種届け出など、個人番号が記入された行政文書の保管、廃棄の問題がどこまでも残ります。いずれこの部分についても、事務負担の軽減が考慮された取り扱い、書式などの変更がなされていくものと考えます。それまでは、これら社会保険関係などの行政書類の保管、廃棄については、別途、注意が必要です。
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