2. 提供カードを使った個人番号取得の具体的運用事例
STEP1 社員への通知と提供カードの配布
- 「個人番号利用目的通知書」を既存社員全員に配布しましょう。その際は、内容の読み合わせなど、社員の方々に疑念が残らないよう工夫しましょう。
※新入社員(試用期間中も忘れずに)にも、就労開始前に必ず「個人番号利用目的通知書」を配布しましょう。 - 「個人番号の提供について」(提供カード)を社員全員に配布しましょう。提供カードは、必ず封筒に入れて個々人に手渡しましょう。その際に、提供カードの紛失、漏洩を防ぐために、持ち運びについての注意喚起も併せて行いましょう。
- 個人番号の管理責任者は、社員の全員に対し、個人番号の回収について具体的に注意喚起をしましょう。
※具体的注意事項 - 扶養家族分は社員の責任で慎重に照合・記入すること
- 本人確認の書類準備について通知しておくこと
- 提供カード提出時の訂正・再提出のために、認め印も持参して頂くこと 等
STEP2 本人確認書類
ほとんどの方が、個人番号カードを当初は取得されないものと考えられます。従って、個人番号の通知カードをご本人にお持ちいただき、確認することを前提に、本人確認として下記の証明書等をご持参いただきましょう。
- 通知カードも身分証明書も不要な場合
個人番号カード
※上記説明の通り、今回は導入時期の関係からこのケースは想定しません。
- 通知カード+ 身分証明書が1つで済む場合
運転免許証、パスポート他
(注)顔写真の添付された証明書など
- 通知カード+ 身分証明書が2つ必要な場合
健康保険証、国民健康保険証、年金手帳他
(注)これらの中から2つ準備してください。
国税庁の「本人確認に関するFAQ」のQ1-3では、
(注意!!:本人確認の省略について)
従業員の身元確認については、雇用契約成立時等に本人であることの確認を行っており、知覚(対面で確認)することにより、本人に相違ないことが明らかと判断できる場合には、身元確認のための書類の提示は必要ありません。
とあります。この取り扱いを利用する場合は、導入時における既存の従業者に対する取り扱いという点を注意しましょう。また、中小企業においては、現実として、社会保険制度を導入していない企業もまだ見受けられます。その際には、本人確認を省略せず、原則通りの対応をおすすめします。
STEP3 提供カードの回収と番号確認
- 提供カードの回収に当たっては、取扱担当者、管理責任者の同席、立ち会いの下、1人ずつ行いましょう。
- 本人確認、個人番号の確認は、できれば一回で確実に終わらせたいと思います。従って、取扱担当者、管理責任者は、段階を踏んで二重、三重の照合確認をおすすめします。
- 個人番号カードの場合は、それだけで本人確認が完了しますが、むしろ個人番号カードを持参される方がまれでしょうから、本人確認書類の種類については、事前に確認しておきましょう。(上記・STEP2 本人確認書類 参照)
できれば、会社側が簡易に確認できる本人確認書類を、あらかじめ従業者に具体的に例示し、これに対応できない従業者とは事前に本人確認書類の打ち合わせを終わらせておくことが肝要です。 - 通知カードと本人確認の書類は全て持参して頂き、番号確認と本人確認を行った上、提供カードへは、会社使用欄に本人確認書類の番号の記入を行います。持参を忘れた時などは、改めて日時を定め再度、取得手続きを行ってください。
なお、個人番号の取得の記録を残すために、個人番号事務管理簿への記入も取得の都度、忘れずに行ってください。 - 提供カードの記入と確認が終了しましたら、会社使用欄の確認日の記入と取扱担当者、管理責任者の確認印を押印してください。この手続きで会社が正規に従業者より提供カードを受領したこととなる訳です。
提供カードは、契約書です。すべての項目が、漏れなく記載され、手続きが行われてこそ契約書としての効力が発生します。 - 初回(再提出と新規雇用含む)は管理欄の当初取得に確認日と同日の日付を記入してください。
以上が具体的運用例ですが、提供カードをご利用される社内で、その事業所にあった取得の方法をきちんと検討され、個人番号取得の手続きを進めてください。
3.具体的運用事例の補足事項
- 扶養家族が多人数となり提供カード一枚に記入しきれない場合は、追加した提供カードと元の提供カードを重ね割印し、追加した提供カードの裏面の扶養家族欄に追加記入してもらいましょう。
この際、裏面の別紙枚数欄に追加枚数の記入を忘れないようにしましょう。 - 当初取得時に提供カードに修正がある場合、新しい提供カードをその場で再度記入していただき、誤った提供カードは本人の面前で廃棄(シュレッダー等)処分するようにしてください。
本人に誤った方の提供カードを持ち帰っていただくことは、かえって紛失、漏洩の場を提供するようなものです。
なお、当初取得時にこれら一連の作業を行うことで、個人番号事務管理簿に誤ったものの「廃棄」の記入は不要です。そもそもが、誤ったものの受領を会社が拒絶しているからです。 - 提供カードの当初取得時に誤りが発覚し、後日に新しい提供カードの再提出を社員にお願いする場合、再提出までは、事業者側で誤ったものを封筒に入れ、のり付けし一時保管、再提出日に本人の面前でシュレッダーなどで廃棄処理を行い、新しいカードの当初取得に確認日を記入してください。
また、提供カードの取得の際の手続きは、初回と同様に行ってください。 - 扶養家族が増えた場合は、提供カードに追記していただくのですが、その際は、事業所内でしかるべき場所を選び、取扱担当者、管理責任者の再度の立ち会いの下、本人の責任において記入していただき、更新廃棄に確認日を記入しておきましょう。
もちろん個人番号事務管理簿への記入も忘れずに行ってください。 - 扶養家族が減る場合は、その扶養者の方の廃棄予定日を提供カードの欄外の廃棄予定日欄に記入するとともに、個人番号時限管理簿にも同様の記入を行い、7年を超えた時点で、たとえばその年の12月の年末調整時などの手続きを行う日などにマスキングを行ってください。
- 社員の方が退職した場合は、管理欄の管理更新欄に赤字で退職日を記入するとともに、個人番号時限管理簿の廃棄起算日に退職日などを記入し7年後にシュレッダー等で廃棄手続きを行ってください。
上記廃棄の手続きは、提供カードについての取り扱いであって、社会保険関係書類などの保管期間、廃棄日が異なる書類などの取り扱いと混同しないようにしてください。提供カードの保管期間で7年間というのは、主に扶養控除等申告書の保管期間を前提に考えているからです。もっと長期間の保管期間が法律で定められれば、これに提供カードの保管期間は引きずられ、延長します。
- 個人番号の変更が行われた場合、社員の方には、新しい提供カードにて再提出を行っていただき、当初取得の提供カードの管理欄の更新廃棄に再提出の確認日を記入し、そのまま保管を継続し、個人番号時限管理簿にも同様の記入を行い、再提出から7年を超えた時点で、シュレッダー等で廃棄していただくこととなります。もちろん、再提出の提供カードには、新しい個人番号が記載されている訳ですから、あくまで新規、当初取得となり再提出の提供カードの当初取得欄も再提出における確認日が記入されることとなります。
- 個人番号の変更以外(住所変更や氏名変更等)は、本人に面前で提供カードの訂正及び訂正箇所への押印を行って頂き、個人番号事務管理簿にその変更内容を記入すれば、提供カードの再提出は必要はないものと考えます。
ここの部分は、再提出していただき、既存のものを7年間保管した上で廃棄処分するなどの方法も考えられますが、なるべく簡易な管理方法で個人番号と各種行政書類が紐付けられれば問題がないと考えます。各事業所での運用方法をご検討されることをおすすめします。
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